音と美術の交流展「パドゥルズ 2003」 〜Phill Niblock、Paul Panhuysen、Hans W. Koch

 ニューヨークのExeperimental Intermedia Foundation とオランダのHet Apollohuis といえば、インスタレーション、パフォーマンスを対象にしたスペースとして先駆的な存在だ。いずれもインディペンデントな組織で非常に多くのアーティストを扱いながら一本筋の通ったセレクションが利いている。その秘密はアーティスト自身 −しかも一癖も二癖もある− がディレクターを務めるという点にあるのではないだろうか。Exeperimental Intermedia Foundation のボスはPhill Niblock。労働者の反復する動作に焦点をあてた極めてユニークな映画の他、最近では爆裂ドローンサウンドのパフォーマンスで日本でも評価が高い。現在はスペースとしての活動を休止しているがHet Apollohuis を取り仕切るのはPaul Panhuysen。Kanary Grand Band(カナリアさん達によるエレクトロ・アコースティック・バンド!)、Maciunas Ensemble(自作楽器によるコンセプチュアル・パフォーマンス)をはじめ、幾何学的なヴィジュアル作品でも知られる。
 今度、東京で開催される「Puddles2003」はアーティスト主導のスペースの国際交流展。中央区の廃校で約2週間に渡って世界各国の20名近いアーティストがインスタレーションとパフォーマンスを繰り広げる。特にサウンド関係がすさまじく上述のNiblock、Panhuysenの他、ドイツからHans W. Koch、 ベルギーからMaria Blondeel、メキシコからManuel Rocha、連日おこなわれる予定のパフォーマンス参加として、Carl Stone、Thomas Ankersmit、千野秀一、足立智美と驚異的な充実ぶりなのだ。この中からもうひとり、ケルン在住のHans W. Kochのパフォーマンスをパリのクラブで見たときのことも忘れられない。ボディから取り出した、基盤むき出しのコンピュータに電極を張り巡らせ電子ノイズを聴かせる。そこまではまだいい。彼は塩水の入ったコップを取り出し、基盤に垂らし始めた。ノイズは狂おしげになり、コンピュータは煙をあげ始めたのだ!私はコンピュータ音楽におけるリアリズムをここまで追求した作品を知らない。ユーモア溢れるフィードバック音のパフォーマンスも魅力的だった。初来日の彼をはじめ、これだけの逸材が日本にそろうことはまずない。しかも入場無料。見逃すなかれ!である。

Puddles 2003 公式サイトhttp://puddles.itodenwa.com/2003


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