音楽工作所 その1

日時:1999年3月20日(土)2時30分〜5時(開場2時)
会場:三鷹市芸術文化センター第一音楽練習室(三鷹駅徒歩12分)
入場料金:1000円
入場者数:28人

<告知文>
Punoipenson Real Time Orchestration Workshop
今回のメンバー:しばてつ(ピヤニカ、他)、足立智美(ヴォイス、他)、河崎純(コントラバス)、堀尾暁子(チェロ)、他ゲスト有り。
ピヤニカ奏者、作曲家、即興演奏家のしばてつが主宰する作曲セッショングループ。かって「グッドマン」で数ヶ月に一度、毎回、異なるメンバーでリハーサル、演奏、解散するというスタイルで数年間に渡って繰り広げられた。即興演奏家、歌手の他さまざまなジャンルの演奏家、作曲家が参加し、ゲームピースやインストラクションによる限りない数の作品が生み出されている。今回は過去の作品と今回のメンバーによる新作を演奏する。

鈴木健雄
鈴木健雄は70年代後半以来、さまざまな作業を行ってきた。昨今のホーミーブームの遥か以前より倍音唱法を試み、ウォークマンでの超ロングディレイで空間の響きを抽出し、磁気テープをパネルに貼り剥きだしのヘッドでこする、などなど。シンプルなアイデアと装置で、驚くほど豊かな結果を生み出す彼のパフォーマンスは実験の喜びを教えてくれる。

芳賀徹/音のようなもの
芳賀徹は日本では珍しい音響詩の作家であり、路上演奏家であり、写真家であり、墓地や山手線や自宅でイヴェントを企画するプロデューサーであり、その他もろもろである。身の回りのありふれたディテールから出発する彼のパフォーマンスは繊細な手つきで芸術と日常の境界を消去してしまう。その仕草を感動的と言っては言い過ぎだろうか。

<当日のプログラム>
Punoipenson Real Time Orchestration Workshop 第1部
しばてつ(ピヤニカ、ヴィオラ、他)、足立智美(声、ヴァイオリン、鍵盤ハーモニカ、打楽器)、河崎純(コントラバス)、堀尾暁子(チェロ)
・管弦楽法(足立)
・リズムで(堀尾)
・ハイドンvariation (しば)
・郷に入っては郷に従え(足立)

芳賀徹   演奏:芳賀徹、劇団カノコトの皆様、日高崇
聞こえるかな?

 -休憩-

Punoipenson Real Time Orchestration Workshop 第2部
・新聞真似(足立)
・弦楽のためのちゃちなのエチュード音響UNITおまけのバルトーク(堀尾+河崎+しば+バルトーク)
・Gah!(足立)
・サインA(しば)

鈴木健雄
カセットテレコとチャンゴによるパフォーマンス

<当日の様子> 解説は足立智美、写真は福永綾子による。
Punoipenson Real Time Orchestration Workshop
メンバーによる作品を8曲演奏。管弦楽法(足立)は各1音のみからなる全三楽章の曲、楽器の3つの奏法が全ての楽器に適応される。リズムで(堀尾)はポリリズムの様々な組み合わせでできている曲。ハイドンvariation (しば)は鍵盤ハーモニカ*2、チェロ、コントラバスによる、ハイドンの変奏曲。主にホケットでメロディー、リズムが分割される。郷に入っては郷に従え(足立)は即興演奏における反応形態だけを規定した作品。同質の音響が続く即興演奏。第2部の新聞真似(足立)は足立のパフォーマンス「新聞詠み」(当日の新聞を様々な発声で朗読)を足立の指揮に従って器楽奏者が真似していく。弦楽のためのちゃちなのエチュード音響UNITおまけのバルトーク(堀尾+河崎+しば+バルトーク)は河崎の弦楽四重曲(その1部にバルトークのエチュードが含まれる)と堀尾の弦楽四重曲、しばの弦楽四重曲をしばが合成したもの、完全に記譜された単純な和声音楽と、リズムや奏法だけが記譜された即興的部分が交錯する。サインAはPunoipenson Real Time Orchestration Workshop では以前から定番曲になっているしば作のゲームピース。

芳賀徹
4枚の大きなパネルを人力で振動させて超低周波(2〜5Hz?)を発生させる試み、芳賀ほか10名ほどで観客を囲む形でパネルを揺らす。真っ暗の中でやったので写真はありません。

鈴木健雄
ウォークマン2台を用いた超ロングディレイを基本にチャンゴの音をかぶせていく。チャンゴの音はフィードバックされる内に、部屋と共振しながら金属的な響きに変容していく。


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